はやり目とは
はやり目(流行性角結膜炎)はアデノウイルスによる、眼と眼周囲の感染症です。
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一般的に強い感染力を伴っており、学校保健法で指定される学校感染症の第三種に分類されていることでも知られています。
はやり目の原因
はやり目の原因となるアデノウイルスは、眼・腸・呼吸器官・泌尿器官など、人体の種々の部位に感染し感染症を引き起こすウイルスです。
このウイルスには数多くの型があることが確認されており、一度の感染によって免疫がつき二度と感染しないということはまれですので、対策としては感染予防のただ一手に尽きるとも言えます。
はやり目の症状
同じアデノウイルス感染に伴う咽頭結膜炎などとは異なり、高熱もなく喉の強い痛みや赤みが出ることもあまりありません。
症状は文字通り眼と眼の周囲に限局し、眼球結膜(白目の部分)の充血や多量の目やに、流涙、羞明(光がまぶしい)などの症状を示します。
もちろん、眼のかゆみや痛みが生じることもあり、時にはまぶたが腫れ上がることもあります。
耳の前方にあるリンパ節が腫れ、痛みを伴うこともありますが、これはウイルス感染に伴う免疫反応です。
眼と眼周囲の症状を自覚してから1週間くらい経つと、角膜(黒目の部分)に小さい濁りのようなものが点状に出現することがあり、基本的には自然消失することが多いですが改善がみられない際は追加治療の適応となります。
はやり目はうつる?
はやり目の原因となるアデノウイルスは、強い感染力を持つと考えられています。
したがって、片眼の発症であっても多くは自然と両眼に症状を認めるようになってしまいます。
流水と石鹸を用いた手洗いの効果は高く、可能であれば速乾性のアルコール手指消毒薬を併用すると良いでしょう。
手洗いがすすめられるのは発症者本人だけでなく、生活を共にする方全員に求められます。
同居家族などに症状がみられた際は、症状が軽快するまでタオルの共用をやめることが大切です。
発症者の用いたタオルは熱水で洗濯あるいは付け置きすることでウイルスを除去することができます。
はやり目って出席停止とかあるの?
第三種感染症に分類されるはやり目では、「医師が伝染の恐れがないと認めるまで」出席は停止しなければなりません。
一般的に臨床症状は一週間程度で最も強くなりますので、10日前後の出席停止はあると考えておくべきです。
学校以外の職場などでも、これに準じた対応が必要になります。
はやり目の治療方法
はやり目のような症状を自覚した場合は、最寄りの眼科クリニックを受診して下さい。
診断に必要な検査や治療はきわめて一般的なものですので、高機能病院を受診する必要はありません。
治療は眼の炎症を和らげる点眼薬の投与と休養が中心となります。
実ははやり目の原因ウイルスに対しての特効薬(抗ウイルス薬)は、現在のところ見つかっていません。
また、症状が過度である場合や治療抵抗性である場合は、ステロイド薬が併用されることもあります。
成人での発症においては十分な休養にあわせ、アルコールの摂取を控えるようにして下さい。
臨床症状が活発である時期の飲酒は、炎症をすすめ軽快を遅らせてしまうことになります。
はやり目を放置していると
はやり目の症状があるにも関わらず、受診機会を逃し治療開始が遅れると、当然周囲への感染を助長させることになります。
また、個人の症状として考えた際も、長期の炎症によって角膜に瘢痕を残したりドライアイになることがあります。
また深刻な場合には、視力低下につながることも確認されていますので、症状を自覚した後は必ず医療機関を受診して下さい。
本疾患はほとんどの場合で後遺症を残さず根治する、いわゆる一過性の感染症ですので不必要に診断を恐れる必要もありません。